06/17/03
藻類学会が以下のような本を作り、一般に公開しています。各タイプの藻場のカラー写真があるので、見てください。
日本藻類学会創立50周年記念出版
「21世紀初頭の藻学の現況」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsp/jjp/phycology21.html
「本書は,「表紙・裏表紙」ファイル,「前書き・目次」ファイル(編者前書
き,目次,藻類学会長挨拶),に続き,48項目の用語・事象解説ファイルから 成ります。すべてpdfファイル形式でダウンロードが可能です。お好きなファ
イルをダウンロードしてお楽しみください。」
04/18/03
モイヤーさんの新刊がでました。
「生きもの、みんな友だち」フレーベル館、1400円です。
モイヤーさんの自伝です。彼の幼年、少年時代は「モイヤー先生三宅島で暮らす」(どうぶつ社)や「イルカガイド入門(PACI)等でも紹介されていますが、この本では一層深く語られています。
また、生き物の話ではない人間の社会や心の話も素直に伝わってきます。彼は、ある分野で成功を収めた人を「大リーグになった」と表現しますが、とても野球が好きです。そんな野球の話や、ジャズの話に混じって人種差別の事も盛り込まれています。子供向けに作られた本ですので、とても読みやすく、写真も沢山、紹介されています。彼の語り口が聞こえてくるような出来映えで、お勧めします。
枕より
「この世に生まれた人間は全て、幸せな人生を送るために、本当に興味を持つことの出来る「なにか」に出会う必要がある」
04/08/03
この度、(株)海游舎から下記新刊の恵送を受けました。ご紹介します。
『魚類の社会行動-2』
[編者]中嶋康裕(日本大学教授)・狩野賢司(東京学芸大学助教授)共編
[体裁]A5判・並製本・224頁
[定価]2,730円(本体2,600円+税)
[発行]2003年4月10日
[ISBN]4-905930-78-2 C3045 Y2600E
[読者]魚類の行動生態学に関心のある学生,教師,研究者
まえがき
私たちはさまざまな社会的関係をもちながら暮らしています。国際社会,地域社会,そして職場や学校で,あるいは友人や家族と。実は私たち人間だけではなく,他の生物もそれぞれの「社会」のなかで生きています。有性生殖をする動物なら,少なくとも繁殖の際には異性という他の個体と関係をもたざるをえません。魚類においても,異性間はもちろん,同性間,親子間,ときには異種間においても,繁殖や餌や隠れ家などをめぐって,さまざまな社会的関係が生じます。たとえば,なぜ,ある種の魚は単独で行動し,別の種はペアで,また別の種は群れで泳いでいるのでしょうか? この『魚類の社会行動』のシリーズでは魚類の社会行動・社会関係のさまざまなトピックスをとりあげ,進化生物学・行動生態学の視点から掘り下げて,詳しくかつわかりやすく解説していきます。
このシリーズは,『魚類の繁殖戦略1, 2』(桑村哲生・中嶋康裕共編,1996,1997)の姉妹編として企画し,おもに若手研究者にお願いしてホットな話題を提供してもらうことにしました。動物行動学や行動生態学の専門学術誌に掲載されている論文は,ある理論に基づいて仮説を立て,それをこのように工夫した方法で実証しましたというスマートなものが多いですが,現実の研究プロセスというのは,いつもスムースに進むわけではありません。むしろ,工夫を重ねても思うような成果がでないことのほうが多いのです。そこでこの本では,理論や事実を解説・紹介するだけではなく,研究プロセスについても,きっかけ・動機をはじめ,どんな苦労があったか,それをどう工夫して乗り越えたか,どんな思わぬ展開が見られたかなどを,臨場感たっぷりに書き込んでもらうように依頼しました。苦労が多いほど,なぞが解けたときの喜びも大きいものです。みなさんにもサイエンスの「なぞ解き」のおもしろさを共有していただければうれしく思います。
この第2巻は5人の方に書いていただきました。それぞれの原稿を4人の編集委員(狩野賢司,桑村哲生,幸田正典,中嶋康裕)が読み,よりわかりやすく,読みやすくなるように,さまざまな視点からコメントして,改訂を重ねていただきました。最終的な編集作業は狩野と中嶋が担当しましたが,どの章も「なぞ解き」のおもしろさを十分に伝えてくれる読み物に仕上がっていると思います。これから研究を始めようとしている学生さんたちにとっても参考になる部分が多いと思います。各章の内容を簡単に紹介しておきます。
第1章(幸田正典)は,南米の河川にすむコリドラスと呼ばれる小型のナマズの仲間のうち,アクアリストにはなじみの深いアカコリの話です。この魚は,交尾をしないので体外受精魚のはずなのですが,雄が放精して卵を受精させる行動が全く観察されていませんでした。いったいアカコリはどうやって卵を受精させているのでしょうか? その奇妙な受精のやり方を巧みな実験によってつきとめていきます。そして,アカコリは雌のほうが雄よりも大きくなるのですが,その理由はなぜなのかも考察しています。
第2章(早川洋一)は北海道の海にすむヨコスジカジカという魚の話です。ヨコスジカジカの雄は2種類の精子を作りますが,その1つには受精能力がありません。いったい,何のためにそんな精子が作られるのでしょうか? 受精能力のない精子がどんな働きをしているのかを詳細な実験によって解明していきます。
第3章(箱山 洋)はフナの話です。フナはどこにでもいる魚ですが,実は,ふつうに雄と雌がいて有性生殖する集団と,雌だけからなり無性生殖する集団とがいるのです。単純に考えると,無性生殖する集団は有性のものの2倍の出生率をもちますから,有性集団はいなくなってしまいそうですが,そうはなりません。有性集団が共存できる条件を理論的に考察し,そのどれが妥当かを実験によって検証していきます。
第4章(坂井陽一)は掃除魚としてよく知られたホンソメワケベラの話です。ホンソメワケベラは,ハレムと呼ばれる数尾のグループで生活していますが,そこでは最大個体だけが雄で,他はすべて雌です。そして雄がいなくなると,ハレム内で最大の雌が雄に性転換することが知られていました。ところが,雌はときどき他のハレムの雄と産卵したり,所属するハレムを離れて別のハレムへと引っ越したりすることがわかりました。雌はそうした行動を行うことでどんな利益を得ているのかを明らかにしていきます。
第5章(松本一範)は西日本の岩礁海岸にすんでいるタカノハダイという魚の話です。タカノハダイは同じサイズの個体に対してだけ摂餌のためのなわばりをもつのですが,なぜサイズが異なれば共存できるのでしょうか? そのなぞを解き明かしていきます。また,タカノハダイは,すみ場所の環境の違いによって,からだの形態まで変化することがわかりました。環境によって,どこがどう変化するのかを分析しています。
第2巻は,第1巻の出版から1年以内には刊行する予定でしたが,それより遅れてしまいました。これは,それぞれの著者が解き明かしたすばらしい発見を,読者にもその感動が伝わるように,表現を工夫して何度も書き直してもらっていたためです。その結果,遅くはなりましたが,それだけ読みごたえのあるものに仕上がったと思っています。第2巻では,第1巻にはあまり出てこなかった水槽飼育実験の話を多く取り入れています。第3巻では,また別の切り口で,もっとわくわくするようななぞ解きを紹介いたします。どうかご期待ください。
2003年3月
中嶋康裕
狩野賢司
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『魚類の社会行動 3』(予定)
1. カザリキュウセンの性淘汰と性転換(狩野賢司)
2. シワイカナゴのなわばり維持と放棄(成松庸二)
3. クロヨシノボリの配偶者選択(高橋大輔)
4. 秋になると性転換をするコウライトラギス(大西信弘)
5. サケ科魚類における河川残留型の繁殖行動と繁殖形質(小関右介)
6. シベリアの古代湖で見たカジカの卵(宗原弘幸)
この度、(株)海游舎から2冊の恵送を受けました。ご紹介します。
「魚類の社会行動-1」
[編者]桑村哲生(中京大学)・狩野賢司(東京学芸大学)
[体裁]A5判・並製本・224頁
[定価]2,730円(本体2,600円+税)
[発行]海游舎、2001年11月30日
[ISBN]4-905930-77-4 C3045 Y2600E
魚類でも,異性間はもちろん同性間,親子間,ときには異種間においても,繁殖や餌や隠れ家などをめぐるさまざまな社会的関係が生じています。本書は,これらのトピックスについて,進化生物学・行動生態学の視点から掘り下げた解説をしました。理論や事実を解説・紹介するだけでなく,研究プロセスについても,そのきっかけ・動機をはじめ,どんな苦労があったか,それをどう工夫して乗り越えたか,どんな思わぬ展開がみられたかなどを,臨場感たっぷりに述べています。苦労が多いほど,なぞが解けたときの喜びも大きいものです。サイエンスの「なぞ解き」の面白さを共有できる書です。
1 .サンゴ礁魚類における精子の節約(吉川朋子)
2 .テングカワハギの配偶システムをめぐる雌雄の駆け駆け引き(小北智之)
3 .ミスジチョウチョウウオのパートナー認知とディスプレイ(藪田慎司)
4 .サザナミハゼのペア行動と子育て(竹垣 毅)
5 .口内保育魚テンジクダイ類の雄による子育てと子殺し(奥田 昇)
吉川朋子さんは、お友達の麻生友枝さんと魚研究のために奇想天外な
生活を送っています。ジャック・モイヤーさんに会って人生が変わっ
た人でもあります。藪田さんは、もうすぐ、AUNJのセミナーで声
を聞かせてくれます。奥田さんは「研究室の海から」ですでに、会員
にはお馴染みです。小北さん、竹垣さんも、これからおそらく皆様の
前に・・・・
「水生動物の卵サイズ」
― 生活史の変異・種分化の生物学 ―
[編者]後藤晃(北海道大学)・井口恵一朗(水産庁中央水産研究所)
[体裁]A5判・並製本・272頁
[定価]3,150円(本体3,000円+税)
[発行]海游舎、2001年4月20日
[ISBN]4-905930-76-6 C3045 Y3000
水中の生物の「たまご」は,わりと小さい。それでも,種や個体によって変異があり,その一粒一粒に子の将来を約束する糧が詰まっています。何と,その大きさを決めるレシピは進化の匙かげん。長い歴史にきたえられた証が読みとれます。そんな卵と向き合った研究者は,想像をめぐらし,調べて調べて,そして納得する。これぞ卵学ことはじめ。
味わい方は十人十色でも,取り組む姿勢はみな真剣そのもの。実践派,理論家,はたまた両刀つかいがしたためた11篇の話が,生態学的・進化学的たまご論を展開。どこから読んでも面白く,新しい発見がある書です。
第1部 卵サイズの種内変異
1.親の体サイズと繁殖のタイミング:ブドウガイ 伊藤健二
2.水温と孵化後の生き残り:カタクチイワシ 今井千文
3.個体から集団レベルの適応:アユ 井口恵一朗
第2部 卵サイズと生活史の変異
4.同胞種間の比較:カワゴカイ属 佐藤正典
5.孵化日と生活史変異:イワナ 山本祥一郎
6.水圏生物種に共通の一般原則:モデルで考える 星野昇・西村欣也
第3部 卵サイズ変異と種分化
7.種多様性の起源:淡水エビ類 益子計夫
8.大卵化へのプロセス:ヨシノボリ類 西田睦
9.回遊形態の分化様式:カジカ類 後藤晃
第4部 卵サイズ変異と種分化のモデル
10.同所的種分化のモデル:河川を舞台に 大森浩二・柳沢康信
11.卵サイズモデル:子の保護と親のサイズ 原田泰志・酒井聡樹
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