2.ハリセンボンの大量出現
3)ハリセンボンの産卵と初期生活史
つぎに、坂本隆志、鈴木克美両氏による研究から、水
槽内で産卵したハリセンボンのことを紹介します。産卵
した親魚は、石川県や福井県の定置網に入ったもので、
これらを金沢水族館と東海大海洋博物館の水槽で水温を
調整して飼育し、受精卵からふ化後、最長69日間にわ
たって育て、仔魚期から稚魚期、幼魚期までの成長と発
育を記録したものです。
産卵は5月から7月の夜9時前後に起こり、1尾のメ
スを複数のオスが下から水面まで押し上げるようにして
上昇し、水面直下で放卵、放精しました。それまでは、
沈性卵を産むと考えられていたのですが、分離浮性卵で
した。
先に紹介した西村さんは、沈性卵を産むと想定してい
たのですが、これは無理もありません。