AUNJ WORKSHOP
日本産 Cirrhilabrus 魚類の幼期
 
写真・説明:加藤昌一・平田智法・宮本育昌(50音順) 編集:余吾 豊


 ベニヒレイトヒキベラ Cirrhilabrus rubrimarginatus Randall, 1992
 担当:平田智法・加藤昌一


ベニヒレイトヒキベラ
Cirrhilabrus rubrimarginatus Randall, 1992

*本項は高知県大月町と伊豆八丈島の観察記録をもとに記述する。
大月町の情報は平田智法氏、八丈島の情報は加藤昌一氏による。

本種の分布域は紀伊半島・伊豆大島以南。
生息水深は20〜60m。高知県西南部ではやや稀、八丈島では普通種。
雄の婚姻色は特に色彩変異が大きい。

出現状況:高知県大月町では周年観察されるが、同所的に観察される個体数、観察ポイント共に少ない。
転石帯・ガレ場・岩礁域の斜面に雄1、2個体と雌数個体がまとまって観察されることが多い。
雄の婚姻色や雌に対する側面誇示は5〜11月に観察された。
幼魚は水深20〜50mの転石帯・礫域・ガレ場で観察され、しばしばイトヒキベラ・クロヘリイトヒキベラ・ツキノワイトヒキベラ・クジャクベラの幼魚と 同じ場所で観察されたが、一緒に行動することは少なく、単独でいることが多かった。
八丈島では、雄1から数個体と雌数十個体からなるグループが周年観察される。雄の婚姻色や求愛行動は5〜11月に見られ、大月町と同じ。
幼魚は水深15〜60mの潮通しの良い岩礁斜面で観察される。
7〜8月には2cm TL以下の割合が多く、個体数も多い。
これらの幼魚は、斜面掛け上がりや根側面の腔腸動物類・カイメン類・海藻類に隠れるように単独で見られる。
3cm TL以上の個体は、ツキノワイトヒキベラの幼魚と同じ場所(岩礁斜面の窪みやガレ場など)で、しばしば一緒に観察されるが、単独でおり、一緒に行動することはない。

水中での色彩:体色は白色から黄色、淡赤色に見える。尾柄部の黒斑は識別できる。

水中写真での色彩:尾柄部の黒斑は小さい個体ほど大きく(体長比)、2.5cm TL以下の個体では淡青色の明瞭な縁取りを持つ眼状斑である。
この黒斑は一様で、内側に小斑紋は見られない。
この眼状斑は5cm TLぐらいまで観察されるが、縁取りは徐々に不明瞭になる。
3cm TL以上の個体では、頭部および体側に不明瞭な8〜10本の縦線や縦列点が見られ、背鰭や尾鰭の辺縁は赤色になる。
背部から吻部にかけては黄色で、吻端に明瞭な斑紋はない。

類似した幼魚:本種は独特の体色のため他種との区別は容易である。
また、尾柄部の眼状斑は同属他種と比較しても明瞭で、同様に明瞭な眼状斑を持つニシキイトヒキベラとは黒斑内部に小斑を持たないこと、吻端に斑紋を欠くことで区別できる。




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