FIELD NOTE No.001

このコーナーでは、皆さんが普段書いておられるFIELD NOTE の中から、興味深い観察例を報告してもらいます。

「珍光景」
文・写真 竹内直子

観察日:2000年9月16日
観察場所:鹿児島県口永良部島西浦湾
水温:26℃
観察開始時間:午後4時30分
観察終了時間:午後5時45分

さて次の写真に写っている水面上の物体は何でしょう?

 この写真は昨年の9月16日に、岸近くのごく浅い場所で私が撮影したものです。時刻は夕方の5時頃でした。私はヘラヤガラという魚がどのように餌を探し、どのように捕食するのかについて日頃調査を続けており、この日はデジカメで写真を撮ろうと、いつもの様にシュノーケリングでつけ回していたところ、初めてこんな光景に出くわしました。
 そうなんです。ヘラヤガラが尾鰭を水面の上に出しながら(というか、水深が浅いから尾鰭が出てしまっているけれど、気にしてないという感じです)、頭を下にして獲物を探し、捕食しようとしているシーンだったのです。

 ヘラヤガラ(英名トランペットフィッシュ、漢字では箆矢柄)は、トゲウオ目ヘラヤガラ科の魚で、世界中で4種、日本には1種が生息しています。茶褐色の個体と黄色の個体がいて、1本のヒゲをもつ馬顔の?!魚です。
 皆さんの中には、他の魚にくっつくようにして、泳いでいるシーンを見たことがある方も沢山いらっしゃることと思います。そのような行動も、写真のように逆立ちしている行動もどちらも餌(主に魚)を食べるための方法です。他にも、ナガニザ(ニザダイ科)などの群れに混じっていることもあり、多くの採餌方法を持っています。
 その風貌と行動から、結構有名な魚ですが、詳しい研究は実はほとんどなされておりません。

 ということで、上の2枚の写真を合成すると、こうなります。

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