FIELD NOTE

 FIELD REPORT はあるテーマに添って長期観察したレポートですが、このコーナーはある日の出会いといったものを出していただいています。たった一回の観察だからなんて思わずにどうぞお寄せ下さい。あるちょっとした出会いから発展していくことも多いと思います。
 
 


No.10 「ウミサボテンを捕食する2種のウミウシ・続報」
平山 昌 SHO HIRAYAMA 03/29/07

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「ウミサボテンを捕食する2種のウミウシ・続報」

 前回、棒状になったダイオウタテジマウミウシのことを絵で紹介しましたが、
ついに写真にとらえました。今回は個体は小ぶりの10ミリ程度でそんなに
極端な棒状にもなっていませんでした。
 しかし捕食らしい行動は見られましたが、なにせ10ミリ程度の生き物が
ウミサボテンのポリプになにをしているかは老眼が入ってきた僕にはよく見え
ませんでした。
 確かに言えることは、このウミウシが立ち上がりながらウミサボテンのポリプ
に口の部分で何かをしたということです。これをまず「攻撃」と考えると、僕が
見つけた時にはすでに何度か攻撃したと思われウミサボテンは潜りかけで下の部分のポリプはほとんど閉じていました。
 その後、ウミウシはポリプめがけて立ち上がり攻撃しては直立姿勢から這う姿勢
に戻るという行動を3度繰り返しました。この数分あまりの攻撃はウミサボテンに
とってよほど苦痛らしく、その間に完全に砂に潜ってしまいました。

 一方、ホソハスエラウミウシですが前の写真のようにウミサボテンに口の部分を
あてている姿を観察できました。しかしどの場合もウミサボテンは全身ポリプを
引っ込めているのですが、砂に潜る様子はありませんでした。
 やはりこのウミウシはウミサボテンの体表の粘液などを食べているのではと推測
しました。

終わりに

今までの観察から推測できることはウミサボテンをめぐって粘液をもっぱら食べる種とポリプをもっぱら食べる種で食べ分けがなされているのではということです。
 それを実証するには2種の消化器官の内容物を調べることが必要です。

この観察のきっかけになったひとつの疑問があります。
「なぜダイオウタテジマウミウシは直立するのか?」です。

おそらくハスエラタテジマウミウシのようにウミサボテンにへばりついては、ポリプがあっという間に引っ込んでしまう。しかも体の小さいダイオウタテジマウミウシはウミサボテンが
砂に潜るのに巻き込まれポリプを攻撃するには不利と考えられます。
 よってウミサボテンから離れ、直立の姿勢からポリプを狙って攻撃する方法を選んだのではと解釈しましたがどうでしょうか。

以下、添付した写真のキャプションです。



2006年11月26日、午後10時頃、沼津市千本浜、水深11m

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