LET'S STUDYING - 6(アラカルト)

A.ハナダイ類の産卵   10/11/02
  関連BBS:1179,1181,1184

 先ずは、原さんのBBS(1179)を取り上げ、最初に出すのがハナダイ類の産卵の写真です。このようなポーズは肉眼ではまず見極められません。写真を見て、平田さんも僕も驚いた次第です。この直前に雌雄は腹を接しています。その時にメスの腹筋の動きから、卵が絞り出されるのをオスが感じ取り、放精のタイミングを測るのだと思います。ベラ類のペア産卵でも、放卵の直前には腹を寄せているのが肉眼、あるいは写真で確認できます。


図25 カシワハナダイの産卵の直前。雌雄が腹部を合わせている
(平田智法さん撮影)


図26 カシワハナダイの産卵(平田智法さん撮影)



図27 キンギョハナダイの産卵(余吾 豊撮影)


 キタマクラでも放卵放精の際に、雌雄は腹部を接していました。音はしないのですが、「今、出しているなー」って思いながら、僕はレギュをくわえてウーーーと声を出していました。それはシマウミスズメの放卵放精の時の音をまねしていたのです。これはオス、メスどちらが出しているのかは分かりませんが、三宅島の伊ヶ谷で聞いた音です。シマウミスズメの場合は、体が甲で包まれているために腹筋の動きは掴めないのでしょう。オスもメスもそっぽを向いて居ますが、音を頼りにタイミングを合わせるのですね。キタマクラの産卵を初めて見た時、サケ、マス類の産卵のようでもあるなと思ったことも確かです。

 さて、タイミングの話になりましたが、この3枚の写真からは、まだ、いろんな
展開がありますよね。一つはこのポーズです。オスが体を曲げ、腹を上にしたメスを包むように鰭を拡げています。この姿勢で受精がうまく行くのならオスがメスよりも体が大きく、各鰭が大きいことは有利ですね。ただ、白濁が写らないのは難点です。

 また、腹部を合わせる行動が産卵以外にもみられることをBBSに書きました。僕はメスがオスをなだめる行動(宥和行動)だと考えています。これは産卵期の日中や、産卵期以外にもみられます。

 これからはビデオの普及によって、細かな行動の記録もずっと精緻なものとなって行くでしょう。良い映像を撮るには事前の観察も大事でしょう。肉眼では気の付かなかった事柄が分かってくることも多いだろうと思います。産卵や交尾など細々した点にも注意を向けたいですね。

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