AUNJ-WORKSHOP


ワークショップ02「紛らわしい魚達」

2.日本産 Xyrichtys 魚類 12/24/03 開始
12/10/06 オオヒレテンスモドキ
12/13/06 オビテンスモドキ

さて、Randall, J.E. and J.L.Earle (2002) の Review of Hawaiian razorfishes of the genus Iniistius (Perciformes: Labridae) に従い、
日本産 Xyrichtys 魚類を大幅に改定します。

  関連BBS: 1808, 1839, 2818 

2.日本産 Xyrichtys 魚類


 現在、日本産のXyrichtys 魚類として以下の3種が報告されています。
日本産魚類検索(第二版)の順に並べると


1.オオヒレテンスモドキ Xyrichtys macrolepidotus
2.オビテンスモドキ Xyrichtys teniourus
3.テンスモドキ Xyrichtys woodi

 1.オオヒレテンスモドキ 12/10/06 開始

 この仲間は全く知りませんでしたので、この度、八丈に行って初めて勉強しました。加藤さんが色々と集めて下さっており、僕はかなり混乱しましたが、まあ、混乱はこれからも続くでしょうね。成魚の写真の顔のアップ画像を見た時はホンベラ属と思ってしまいました。まだ、まだ、駄目ですね。



オオヒレテンスモドキの幼魚(撮影:余吾 渉 ohiretensu_1.jpg)
全長 6.5cm 12/04/06 八丈島八重根 水深11m



オオヒレテンスモドキの幼魚(撮影:余吾 渉 oohire_2.jpg)
全長 6.5 cm 12/04/06 八丈島八重根 水深11m


オオヒレテンスモドキの成魚(加藤昌一:oohire_5.jpg)
全長18cm 11/13/06 八丈島八重根、水深12m、

 加藤さんのコメント:ヤマブキベラなどで見られる雌雄の色彩変化は、このオオヒレテンスモドキでは
見られません。ホンソメワケベラと同じで、幼魚から成魚までの各ステージでの色彩変化のタイプなのではないでしょうか。成長過程で見ると幼魚では、全体が茶色〜緑(t環境に合わせてる)の色彩で顔に模様はありません。全長5cm前後から目の下に一本のラインが出てきて、胸ビレ基底部付近に白いぼかし模様が入ります。
 ここからは一気に顔に模様が出るのではないかと思っています。この成長過程の写真を撮っていくつもりですが、来年になりそうですね。気長にお待ち下さい。。。
 




オオヒレテンスモドキの成魚(撮影:余吾 渉:ohiretensu_3.jpg)
全長 20cm 07/03/06 八丈島底土  水深 3m



オオヒレテンスモドキの成魚(加藤昌一:ooohire_6.jpg)
全長25cm 06/12/06 八丈島、底土、水深 5 m

加藤さんのコメント:垂直で立ってます。この場所にはもう一匹の同サイズの雄がいて、
対面すると2匹で交互に立って威嚇し合います。

事務局より:これがオオヒレテンスモドキの成魚ですか?驚きですね。
これほど変わるとは思っていなかったな。怖いですねー。

 

 2.オビテンスモドキ 12/13/06  

約15 cm TL? 2001年8月9日,柏島後ろの浜,水深8m、撮影:遠藤広光

事務局より:何度見ても笑ってしまう顔です。どうなっちょんの?
こいつらの寝床作りも面白い。僕はこいつにひどく噛みつかれました。

12/14/2006 更新

2004年 7月21日 高知県宿毛市沖の島母島港横 水深10m
遠藤広光

 3.テンスモドキ

現在、集まっているテンスモドキの仲間から始めていきます。

テンスモドキ Xyrichtys woodi は、成長によるものだけでなく、同じサイズでも環境により、体色・斑紋の個体変異(一時的な変化も含め)が多いようですね。写真をまず羅列していきます。
さらに情報を増やしながらタイプ分けが可能かどうか積み上げて整理していきたいと思います。投稿をお待ちしています。撮影者名の後の画像番号は撮影者のオリジナルです。取り違え等気づかれましたらお知らせ下さい。

また、Iniistius 魚類から、Iniistius sp.4-2 はこちらに移動し、比較のためIniistius sp.4-1も掲載します。


原 多加志(tensumodoki1.jpg)
06/22/03 伊豆海洋公園 水深20m 2.5 cmTL



 山本 敏(t3.jpg)
07/12/03 伊東市富戸(IOP) 3cm TL 水深20m


山本さんのコメント:これは、原さんが撮影された上の個体と同種(ひょっとしたら同一個体?)ではないかと思います。


原 多加志(tensusp1.jpg)
06/22/03 伊豆海洋公園 水深20m 2.5 cmTL

原さんのコメント:IOPで、久々にテンス系幼魚を撮影しました。
平田さんの撮られた Iniistius sp.4-1 に近いと思うのです。
いかがでしょうか

平田さんのコメント:
tensusp1はテンスモドキではないでしょうか?
tensusp1 は Iniistius.sp.4-1とよく似ていますが
・体側の黒斑(褐色斑ではない)が体軸よりも背側にあるのに対し
Iniistius.sp.4-1 は中央にある
・背鰭が2基に別れるのに対し、Iniistius.sp.4-1 は低い鰭膜で
連続するの2点で区別出来ます。

事務局より:「Iniistius.sp.4-2」の原版がこの tensusp1.jpg です。
平田さんと検討し、こちらへ移動します。
参考のため、Iniistius.sp.4-1 を掲載します。背鰭起部と眼の位置
関係にも大きな違いがあると思います。tensusp1 は背鰭起部が眼の
直上より後の方から始まるのに対し、Iniistius.sp.4-1 の方が眼の
直上に近いと思いませんか?

Iniistius
.sp.4-1 

 平田智法(0426-04)  
11/21/93 6cm TL 水深20m 

以下、同じ個体と考えられる連続記録です
現在のところ、15年7月から16年2月まで


 山本 敏(t1.jpg)
07/12/03 伊東市富戸(IOP)  5cmTL 水深30m

山本さんのコメント:t1.jpgは、全く別の場所で撮影しましたが、t3.jpgと共通する特徴があると思うのですが、いかがでしょうか?

事務局より:t3とは別物のような気がしますが・・・・


 山本 敏(ten1.jpg)
11/09/03 伊東市富戸(IOP)  5cmTL 水深30m

山本さんのコメント:先日テンスモドキの画像をお送りしましたが、同じ場所でまたテンスモドキを撮影しましたのでお送りいたします。
背ビレの前の方に黒点がある特徴が一致してるところから、先日お送りした画像の個体(t1.jpg)と同じ個体である可能性が高いと思います。
もし、同一個体ならば激しい体色変化ですね。

事務局より:同じ個体だと思いますよ!


山本 敏(ten2.jpg)
12/27/03 伊東市富戸(IOP)  8cmTL 水深30m

山本さんのコメント:
 さて、忘れてた宿題のテンスモドキですが、今日12/27に同じ場所で同じ個体と思われるテンスモドキを撮影してきましたので、画像をお送りいたします。全くもって典型的なテンスモドキになってしまいました。(笑)

事務局より:同じ個体なんですか?成長が早すぎない?
背鰭の鰭膜に黒点が出てますね。うーん・・・未だ、納得できないなあ。

03/14/04


山本 敏(ten3.jpg)
02/15/04 伊東市富戸(IOP)  8cmTL 水深 30m 水温15度

山本さんのコメント:さて、例のテンスモドキを2月に撮影していましたので、写真を送っておきます。またちょっと色が変わってますが、周りの砂地がコケで茶色くなっていましたので、そのためだと思います。

事務局より:どうぞ、しつこく追って下さい。それにしてもシャープで良いアングルの写真ですね。頭部前縁の透明がかっている部分もよく分かります。
この個体は冬も動かないのですね。コケというのは附着珪藻のことでしょうか。



原崎 森(hontensu_shige.jpg) 
01/03/03 ナズマド 水深35m TL 6cm


原崎さんのコメント:これでしたら水深30m以深の砂地で数はとても少ないです。傾斜した広い砂地に点在する小さい根の周りで通年生息する。
八丈では今のところこの場所だけで確認されている。局所的に、雄1匹に対し雌数匹のハーレムを形成しています。
写真個体は雌と思われ。写真個体より大きいサイズが1個体に対し小さいサイズが数匹で見られる。

03/02/04 更新


宮本育昌 
08/01/2003 伊豆大島 水深20m TL 6 cm

12/14/2006 更新


2004年 7月21日 高知県宿毛市沖の島母島港横 水深10m
遠藤広光


事務局より:どれも体型がよく似ていますし、平たい体側に際だつ斑紋を持つために斑紋だけに注意が行きがちです。これが決め手になれば幸いなのですが、老幼や雌雄の個体差がどうなっているのかが分からないのです。大きさの異なるもの、繁殖期のもの等を集め、比較しながら繋いでいかないとなりませんね。勿論、最終的にはサンプルによる検討が欠かせませんが、ともかく、出来るところから始めていきましょう。


文献

平田智法・山川 武・岩田明久・真鍋三郎・平松 亘・大西信弘 1996.
 高知県柏島の魚類相.行動と生態に関する記述を中心として.
 Bull. Mar. Sci. Fish., Kochi Univ., 16: 1-177.
犬尾三郎 1936 ベラ科に於ける雌雄の差 植物及び動物、
3(9):1621-1626
Kamohara, T. 1964. Revised catalogue of fishes of Kochi Prefecture
 Japan. Rept. Usa Mar. Biol. Sta., 11(1): 1-99.
益田 一・小林安雅 1994 日本産魚類生態大図鑑 東海大学出版会
Masuda, T. and K. Tanaka 1962 Young of labroid and scaroid fishes
 from the central pacific coasts of Japan.
 Jour. Tokyo Univ. of Fish., 48(1):1-98
Myers, R. F. 1991 Micronesian Reef Fishes
中坊徹次 2001 日本産魚類検索 東海大学出版会
Randall et al. 1997 Annotated checklist of the inshore fishes of
 the Ogasawara Islands
Randall, J.E. and J.L. Earle. 2002. Review of Hawaiian razorfishes of
 the genus Iniistius (Perciformes: Labridae). Pacific Science,
 56(4): 389-402.

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