AUNJ WORKSHOP−4
アマモを見てみよう 03/21/04 開始

観察会を終えて 感想、疑問など 07/15/04

INDEX

・  序にかえて 石田根吉 03/21/04

1.「アマモとはどんな生き物?ー生態・生活史」 山本正之 03/23/04 開始
 
1)アマモの種類−海草と海藻− 03/23/04
 2)アマモの体と繁殖方法    04/12/04

2.「沖縄でのアマモ場における魚類群集」 中村洋平 04/09/04 開始
 1)アマモ場って何?                  04/09/04
 2)沖縄のアマモ場                   04/09/04

 3)魚達はアマモ場に何を求めているのか?        05/07/04

3.「海士も考えるー藻場の荒廃と回復」 余吾 豊 04/05/04 開始
 1)藻場の荒廃      04/05/04
 2)荒廃の現状と原因は? 04/16/04
 3)僕らはどう捉えるか?

4.「
アマモ場とアマモ群落」 新井章吾(代筆:余吾 豊)04/05/04 開始
 
1)アマモとウミヒルモの関係        04/05/04
 2}アマモとアイゴの冷たい関係       04/08/04
 3)ジュゴン、アマモ、ウミヒルモの三角関係

5.「
アマモの雑学」 余吾 豊 04/06/04 開始
 
1)食用の例   04/07/04 更新
 2)その他の利用 04/06/04
 3)祖先     04/06/04
 4)アマモ異名抄
 04/06/04



スケジュール第5案を発表 04/16/04
観察会を終えて 感想、疑問など 
07/15/04
関連BBS:1981, 84-86, 90, 91, 96, 98, 2002, 04, 20, 24, 36,42-45, 48-55, 57-62
 

− 序にかえて −

富戸の港にあるアマモ場はこんなにちっぽけなものです。それでもウミスズメ
の幼魚の隠れ家としては十分らしく、葉の間に身を隠すようにチョロチョロと
泳ぎ回っています。そんなアマモの株が花を咲かせているのを昨年初めて見つ
けました。「花」と呼ぶには余りに地味でちっぽけなものですが、初夏の光を
受けてとても清々しい光景でした。



伊東市富戸漁港内 2003/05/05、水深1.5m、水温16℃

しかし、ここのアマモも今年は姿が見えません。富戸から愈々消えてしまうの
か少し気掛かりな今日この頃です。               石田根吉

1.アマモとはどんな生き物?ー生態・生活史  山本正之

1)アマモの種類−海草と海藻− 03/23/04

 日本語で“アマモ”というと,アマモ Zostera marina という種類をさす場合と,海産顕花植物全般(あるいはそのうちの丈が高くなる種類?)をさす場合があるようです。
 海産顕花植物−海に生育して花を咲かせる植物のことで,海草と呼びます(←読んだまんまの解説;分類学用語では海産種子植物とする方が正確なようです)。


写真引用元;三重大学生物資源学部藻類学研究室ホームページ
http://soruipc2.bio.mie-u.ac.jp/sourui.html

一方,アラメ・カジメやホンダワラ類,ノリやワカメなど海藻は,花を咲かせない植物,対抗して呼ぶなら海産隠花植物(そのうちの定着生で大型のもの)です。海草も海藻も,素直に読めばいずれもカイソウとなって紛らわしいことから,海草の方をウミクサと読む場合もあります。
 海草も海藻も祖先は原始地球の海で生まれた単細胞の藻類です。海藻の方は,そこから海域の環境に適応・分化して進化してきたと考えられていますから,
海藻は海生まれ海育ち,生粋チャキチャキの海っ子となります(一部,淡水生,陸生の種類があります)。
 海草の方は,藻類から進化・枝分かれして陸上に進出したグループが,さらに陸上の環境に適応・進化して顕花植物となり,その一部が再び海に帰ってきたものと考えられています。つまり,出戻り・・・いや・・・あの・・・ほ乳類でのクジラのような過程を経て成立したグループです。
 海草も海藻も,単一種で,あるいは複数種が混成して群落を作り,この群落は重要な一次生産者であると同時に生命のゆりかご,魚たちの隠れ家・・・(その辺の適当な本を読んでください)。
 さて,海草の種類ですが,(分類が混乱しているようでフォローしきれていないのですが)世界で4科12属56種の記録があります。このうち,日本には次の16種の生育が見られます(大森,2000)。

トチカガミ科 Hydrocharitaceae
ウミショウブ Enhalus acoroides
(八重山諸島)
リュウキュウスガモ
 Thalassia hemprichii
(沖縄諸島以南)
ウミヒルモ Halophila ovalis
(太平洋側は房総半島南部・三浦半島,日本海側は能登半島以南)
ヒメウミヒルモ H. decipiens
(沖縄本島)
ベニアマモ科 Cymodoceaceae
ベニアマモ Cymodocea rotundata
(奄美諸島以南)
リュウキュウアマモ C. serrulata
(奄美諸島以南)
ウミジグサ Halodule uninervis
(奄美諸島以南)
マツバウミジグサ H. pinifolia
(奄美諸島以南)
ボウバアマモ 
Syringodium isoetifolium
(奄美諸島以南)
アマモ科 Zosteraceae
アマモ Zostera marina
(九州から北海道の内湾)
タチアマモ Z. caulescens
(本州中部・北部)
オオアマモ Z. asiatica
(北海道,三陸海岸)
スゲアマモ Z. caespitosa
(北海道,本州中部・北部)
コアマモ Z. japonica
(日本全国)
スガモ Phyllospadix iwatensis
(北海道,本州中部以北)
エビアマモ P. japonicus
(本州中部・西部)
出典:大森雄治(2000)日本の海草−分布と形態−.海洋と生物,22(6);524-532.

 かっこ内に日本国内の分布域を入れました。これは,参考文献の中で整理されていた情報で,現時点で学術的記録があるものということになります。さらに観察が進めば,実際にはこの限りではないだろうと思います。たとえば,ウミヒルモは能登半島以南となっていますが,佐渡島でも見たことがあります。また、この種類は,サンゴ礁海では礁池の浅所に大草原を作ることが知られていますが,水深20mくらいの砂泥底でも生育を見たことがあります。これからの観察で,それぞれの種類の個性(生態)がどんな風に描かれていくのか楽しみです。

*余吾補注:エビアマモは北部九州の糸島半島沿岸でも観察しました。

2)アマモの体と繁殖方法 04/12/04

 浅い海の砂底に茂る緑のアマモとして見ているものは,解剖学的には枝にあたります(個体数を扱う生態学では株と呼ぶ方もいます)。下の砂を掘っていくと茎と根が出てきます。石田さんのアマモ移植の写真に,ちょうど砂をどけたところがありましたね。

 体の構造を説明するために,千葉県立中央博物館分館海の博物館(名前が長い!
ホンマヤ!余吾補注)の菊池則夫さんから、アマモ Zostera marina の写真(初出;菊池則夫(2003)、「海の生きもの観察ノートA海藻を観察しよう」。pp28,千葉県立中央博物館分館海の博物館)を借りてきましたので見てください。

 茎は砂の中を横に這う地下茎 Rhizome になっています。地下茎には間隔をとって節 Not があり,この節のところからひげのような根 Root が出て います。この根を使って砂中の水(間隙水)から栄養塩を吸収します(葉の表面からも少しだけ栄養塩を吸収します)。

 枝 Shoot も節のところから出ます。枝には,葉っぱだけの枝と花をつけて実を結ぶ枝の2種類があります。葉っぱだけの枝は,光合成をして炭水化物を合成するのが役目で,栄養枝 Vegetative Shoot と呼ばれます。花をつけて実を結ぶ枝は,花枝あるいは果枝 Reproductive Shoot と呼ばれます。

 写真の枝は,花枝です。花と指されているところをよく見ると,一見すると葉のように見えるものの一部が盛り上がっているのが分かると思います。ここに花の集まり花穂が入っています。葉と指されているものも,付け根近くをよく見ると盛り上がっていますね。実は,これも花です。アマモの花枝には,このように花だけが作られます。


アマモの花枝

 BBSで,アマモとタチアマモ Z. caulescens 花枝の形が違うから区別が簡単だと書き込みました。アマモの花枝は,このように花だけをつけて,花が咲き,実を結び,成熟した種を放出したあとは,枝ごと枯れ落ちます。タチアマモでは,花だけではなく葉もつけて,種を放出したあとも成長を続けます。

 さて,アマモの花には雄と雌があり,雄花で作られた花粉が雌花の・・・(その辺の性教育の本を読んでください)。陸上の顕花植物では,花粉を虫が運ぶ虫媒花,風が運ぶ風媒花などがありますが,アマモは水の流れに運ばれる水媒花です。

 本州中部ですと,成熟した種が放出されるのは初夏の頃となります。種はただこぼれるだけで,あるいは水の流れに運ばれて海底に落ちます。そして,このまま夏を過ごし,秋になる頃から発芽して成長を始めます。種から育ったものは,地下茎からのものと区別して,実生(ミショウ)と呼ばれます。

 この種による繁殖の他に,地下茎による栄養繁殖も見られます。地下茎は砂の中で伸長して,新しい節を作り,この節から新しい根と枝を出します。1年目 の実生は成熟しませんが,栄養繁殖による枝は花枝になる場合もあります。それで,石田さんのアマモ場再生プロジェクトには地下茎ごとの移植をお勧めしました。ただし,この移植をやり過ぎると,元々のアマモ場にダメージを与えかねません。石田さんには充分ご理解いただき,実際の作業では細心の注意を払われたようです。

3)につづく(かも?)

*:余吾より:アマモとタチアマモは平行脈の色も違うのでは?
 


参考文献:
菊池則夫(2003)「海の生きもの観察ノートA 海藻を観察しよう」。pp28,千葉県立中央博物館分館海の博物館)
大森雄治(2000)日本の海草−分布と形態−.海洋と生物,22(6);524-532.

参考資料:
http://nori-f-web.hp.infoseek.co.jp/amamoba.html
個人のサイトのようですが、繁殖様式などが丁寧に解説されています。
ただし、種類はコアマモ Zostera japonicaです。

http://www.angel.ne.jp/~umi/amamo/newpage1.htm
横浜市の市民団体のアマモ場造成の様子です。
具体的な作業の内容や季節などをイメージできると思います。

http://www10.ocn.ne.jp/~amamo.bk/
瀬戸内海で活動するNPOのサイトです。播種方法、苗移植方法が網羅的に紹介されています。

http://www.botany.hawaii.edu/seagrass/
スミソニアン博物館がアマモのモノグラフを出しているのですが、このサイトでそこに使われているイラストがすべてみられます。

2.「沖縄でのアマモ場における魚類群集」 中村洋平 04/09/04

1)アマモ場って何?

 那覇空港から南方へ飛び立って約一時間,石垣島への着陸を伝える機内放送を聞きながらふと目を窓の外に向けると,そこにはエメラルドグリーンに輝くサンゴ礁に縁取られた石垣島がみえる.日本有数,いや世界有数のサンゴ礁が発達する八重山諸島だ.その美しい景色に感動しつつも沖のサンゴ礁に打ち寄せる白い波の線の内側にある浅い海をみると,黒っぽい色の濃い場所があるのに気がつく.これが今回のテーマであるアマモ場です.

 さて,そもそもアマモ場とは何でしょう? もともと狭義にはアマモ (Zostera marina:1.アマモの種類参照) の生えているところを指しますが,ここでは海草が繁茂しているところを総称してアマモ場と呼ぶことにします.沖縄本島においてはジュゴンが海草を採食しにアマモ場に出現することから,一度はテレビや新聞でその言葉に触れたことがあるかもしれません.このコラムでは,沖縄地方のアマモ場が魚類にどのように利用されているのかについてご紹介します.

 沖縄地方のアマモ場についてお話する前に,温帯域(本州沿岸)のアマモ場が魚類にどのように利用されているのかについて簡単に説明しましょう.

 アマモ場には,アマモに付着する微小藻類や枯死したアマモに由来するデトリタスが豊富にあり,それらを餌とするヨコエビ類や多毛類など,さまざまな無脊椎動物が高密度で生息しています.つまり,アマモ場は魚類にとって格好の餌場となっているのです.加えて,アマモの葉によって形成される複雑な構造は,魚類に生活空間を提供しているだけでなく,稚幼魚などにとっては捕食者からのシェルターとして機能していると考えられています. このような特性のため,アマモ場には多種多様な魚類が生息し,また,さまざまな種の稚幼魚の成育場となっているのです.

 さて,温帯域ではアマモ場に出現する魚類にある程度の共通性が見られることが知られています. 一般的に,周年出現するアミメハギやハオコゼなどのような小形種と,季節的に出現するより大形の種の稚幼魚がアマモ場の魚類群集の主な構成種となっているそうです (堀之内,2003).

2)沖縄のアマモ場

 それでは,サンゴ礁が発達する沖縄地方のアマモ場は魚類にどの様に利用されているのでしょうか? シュノーケリングで礁池内のアマモ場を見たことがある人は次のように感じると思います.

 “...なんだ,魚いないじゃん!”

 たしかにカラフルな魚たちが泳ぎ回っているサンゴ礁域を見たことがある人なら,アマモ場はなんと地味に感じるでしょう.しかし,よくよく観察すると様々な魚が生息していることに気がつきます. まず,最も特徴的なのが海草に擬態している魚です. 西表島や石垣島のアマモ場では,フチドリカワハギ,カマスベラ,ハタタテギンポ,オオヒレテンスモドキやトゲヨウジ (写真1) など海草自体や海草に付着する海藻類に体色を似せた魚類が数多く生息しています.

 もっともっと目を凝らしてみると,ウミショウブ (Enhalus acoroides:1.アマモの種類参照) の葉上にはウミショウブハゼなるものもいます. また,海草をみてみると,半円状にかじり取られたあとがよく見られます.これは,チビブダイやミゾレブダイ,もしくはアイゴ (成魚) などの海草食魚によって摂食されたあとなのです. このように海草に擬態したり海草を摂食したりする魚類はアマモ場のみで生涯生活をするものが多く,八重山のアマモ場に出現する魚類においては種数と個体数ともに全体の約3−4割を占めています.

 それでは,他の6割はどのような魚類なのでしょう? 多くはアマモ場を一時的に利用するサンゴ礁魚類です. 具体的にはオオスジヒメジやミツボシキュウセンなどのようにアマモ場を餌場の一部として利用しているものや,多くのフエフキダイ類のように,稚魚期をアマモ場で過ごし,成長するとサンゴ礁域のほうに移動するものなどが挙げられます (写真2:イソフエフキ稚魚).


 このように沖縄地方のアマモ場は,海草食魚などのアマモ場専住魚と,アマモ場を餌場や稚魚の成育場として利用するサンゴ礁魚類によって利用されていることが理解されたと思います.

 それでは逆に,サンゴ礁魚類全体の中でアマモ場を利用する魚類はどの位いるのでしょうか? 実は,アマモ場を利用している魚類はその1−2割ほどしか占めないことが明らかとなっています.意外に少ないですね

 それではサンゴ礁域に比べて魚の少ないアマモ場はあまり重要ではないのでしょうか? いえいえ,そんなことはありません.例えば,アマモ場を稚魚の成育場として利用しているフエフキダイ類は沖縄地方の沿岸で漁獲される魚類の中で最も重要な水産資源の一つとなっています.

 また,旧暦の6月から7月の大潮の時期にアマモ場に出現するスク (アイゴ類の稚魚:写真3) の大群はスクガラス (スクを塩辛にしたもの) として利用されていますし,アイゴの成魚は肉のしまりがよく,美味であることから大衆魚として好まれています.

 魚類以外にも,アオリイカ (アマモ場に産卵をしにくる),クモガイ,オキナワモズクなど人の生活に係わっている生物がアマモ場には豊富にいるのです.

 下の“アマモ場の荒廃と回復”でも触れていますが,アマモ場は現在消失の一途をたどっています.沖縄地方でも,陸域からの汚水とシルトの流入,漁港の建設・航路浚渫などにより減少傾向にあります.アマモ場が減少したために,有用魚介類の漁獲量が減少した例は,世界中のあちこちで知られています.私たちは健全な海洋環境を維持・利用するためにも,アマモ場の保全や回復に取り組む必要があるでしょう.



参考資料
堀之内正博(2003)アマモ場における調査法  竹内均 (監修) 地球環境調査計測事典.第3巻沿岸域編. p723−732. フジ・テクノシステム,東京.
向井宏(1997) サンゴ礁の草原 西平守孝ら (編著) サンゴ礁―生物がつくった生物の楽園.p169−225. 平凡社,東京.

3) 魚達はアマモ場に何を求めているのか? 
05/07/04

 アマモ場には,周囲の砂地と比べて多種多様な魚類が棲んでいることが知られています.これは,海草によって形成される立体構造の存在が,魚類の生息場所形成において重要な役割を果たしているためです.
 それでは,その役割とは何でしょうか?ここでは,アマモ場のもつ餌場と避難場所としての機能的役割をみることで,魚達がアマモ場に何を求めているのかを考えていきます.

a) 餌場としてのアマモ場の役割

 アマモ場では海草を摂食するブダイ類やアイゴ類が知られています(写真下;ブダイ類の摂食跡).しかし,アマモ場魚類全体に占める海草食魚の割合は,あまり大きくありません.

 アマモ場に出現する魚類の大部分は,葉上性や表在性のヨコエビ類や等脚類などの小型甲殻類を摂食しています.小型甲殻類などの無脊椎動物の量は,砂地よりもアマモ場に多いため,アマモ場は魚類の格好の餌場となっているのです (表;参照).また,葉上性の無脊椎動物の量は,海草の葉が茂るほど増えていく傾向にあることも知られています.

表.アマモ場と砂地における無脊椎動物量の比較 (個体数/F)

場  所
アマモ場
砂 地
文  献
岩手県大槌湾
10023
3434
野島 (1996)*1
沖縄県西表島
24196
10540
中村 (未発表) *2

     *1.底生(埋在性)無脊椎動物
*2.葉上性・表在性および底生無脊椎動物の合計

b) 避難場所としてのアマモ場の役割

 海草の葉が形成する複雑な構造は,捕食者からのシェルターとしての機能を持つと考えられています.特に被食の危険が高い稚魚にとっては重要な機能です.
 実際,捕食者の存在下でアマモ場と砂地における稚魚の生残率を比較したところ,アマモ場の方が高いという結果が得られています.また,アマモ場のシェルターとしての効果は稚魚の行動型で異なり,定住性のテンジクダイ類よりも移動性のベラ類の方が高い生残率を得られるという報告もあります.

c) 魚達がアマモ場に求めるもの

 アマモ場の魚類群集は,アマモ場を中心に生活をする魚類と,アマモ場を餌場や稚魚の成育場として,一時的に利用する魚類によって大きく構成されています.

 まず,アマモ場を中心に生活をする魚類は,アマモ場に何を求めているのでしょうか?アマモ場以外に生息場としての構造がないところでは,海草によって形成される立体構造は,格好の生活空間となっているでしょう.海草による水の流れの静穏効果は,これらの魚にとって好適な棲み場所であることも考えられます.また,海草や海草由来の生産物に大きく依存している魚類はアマモ場でないと生活できません (例えば、海草食魚).

 それでは,アマモ場を一時的に利用する魚類はどうでしょうか?まず,餌場として利用している魚類は,その豊富な餌資源を求めているのでしょう.

 では,アマモ場を稚魚の成育場として利用している魚類はどうでしょうか?先にも紹介したようにアマモ場は,餌が豊富で,被食の危険が低いため,稚魚の成育場として格好の場所なのです.餌が豊富にあるため,稚魚期をアマモ場で過ごした個体は,砂地で過ごした個体よりも成長率が高かったことも報告されています.つまり,アマモ場で過ごした方が,被食される確率が少なく,また,早く成魚になることができるのです.

 アマモ場を稚魚の成育場として利用している魚類の中には,アマモ場が消失することによって,アマモ場以外の生息場を利用するのではなく,その魚自体がいなくなってしまう種がいます.そのためアマモ場の衰退は,アマモ場専住魚だけでなく,稚魚の成育場として一時的に利用している魚類にとっても大きな問題なのです.

参考資料
Biology of seagrasses (1989) Larkum AWD, McComb AJ, Shepherd SA (eds) Elesevier, New York.
野島 哲 (1996) 海草藻場群集の多様性と安定化機構.日本生態学会誌46:327−337
仲岡雅裕先生(千葉大学)のHP:海草藻場の研究 http://life.s.chiba-u.jp/nakaoka/SeagrassRes_jp.htm

3.海士も考えるー藻場の荒廃と回復 余吾 豊 編 04/04/04

1)藻場の荒廃

 藻場には、コンブ場、アラメ・カジメ場、ガラモ場、アマモ場とがある。藻が少なくなったり、消失したり、或いは、幾つかの意味で価値がない、あるいは有害な別の藻類に置き換わったりする事を、ここでは「藻場の荒廃」と呼びましょう。原因は、自然環境の変動によるものや、人間が埋め立て工事や浚渫工事をしたりして消滅させる他に、原因が良く掴めないものも多いのです。

 例えば、「磯焼け」と呼ばれる現象があります。これも定義が難しいようですが、藻食性の生物の餌となっていた海藻が消え、無節石灰藻と言う小型海藻がびっしりと岩肌を覆い尽くし、辺り一面は白くなってしまう現象を指すと考えて良いでしょう。様々な原因が考えられていますが、定説はありません。

 自然状態で、植生が変化して行き、見た目の景観が変わるのを見る場合があります。「昔は、ここは○○林だったのに、最近は△△林になっちゃった」なんてことがあります。最初には、成長が早い植物が勢い良く伸びますが、その後、背の高い喬木に置き換わる例です。これを遷移(センイ)と言います。そして、安定した状態に達すると、その後は特に何かが起こらない限り、その景観が続きます。この状態を極相(きょくそう:クライマックスともいう)と呼びます。このような遷移が起こるのは、最初に人間が伐採して、その後、放置した土地で起こることが多いのですね。

 ちょっと、脱線します。熱帯雨林とジャングルを混同しがちですが、熱帯雨林は極相の状態です。その中に人は住みません。ところが、熱帯雨林の周辺に人が住み、熱帯雨林の周辺部に人が手を加えます。伐採したり、畑を拡げるために焼いたりするのです。こういう人が手を加えた部分は、光が入り込み、背の低い草やツル植物が増えます。いわゆる藪に変化します。この部分をジャングルと言うのです(湯本、1999)。この本はお薦めです。

 話を戻します。一方、火山噴火や、山火事などで丸裸になった土地でも、遷移が起こり、長い時間をかけて極相に達します。今、三宅島でそれが進んでいます。これとは別ですが、三宅や御蔵島は火山で出来た島ですで、成立年代は御蔵島の方がずっと古いものです。三宅では、タブノキ群落からスダジイ群落へ遷移する状態ですが、御蔵島はすでにスダジイの極相に達しつつあります。詳しくは「
御蔵島顛末記番外編-3」を読んで下さい。

 こういう自然の大変化によって起こる遷移を一次遷移と呼び、人間の手によって進行するものを二次遷移と呼んで区別します。富戸の港が浚渫されてアマモ群落が消失した後に、別の植物が侵入して、それまで違った景観を作るかも知れません。

 さらに「
海藻植生の変化」で紹介しているように、自然環境の変動(気候変化、台風、生物の異常発生等)によって景観が変わることもあり、それが、人間社会から見ると不都合な変化である場合は、これも荒廃に含めています。

 ここでは、アマモ場の荒廃を例にとって調べてみましょう。

2)荒廃の原因は突き止められるか?

【実例1】「アマモも食べるアイゴ」東出幸真氏 NEWS LETTER OF NOTO MARINE CENTER No.18
http://www.pref.ishikawa.jp/nmc/No_18.pdf 04/16/04

石川県でアマモ場を形成する海草類は、コアマモ、アマモ、スゲアマモ、タチアマモの4 種類です。そのなかでもタチアマモは「石川県の絶滅のおそれのある野生生物」、いわゆるいしかわレッドデータブックで、「絶滅危惧」というランクにおかれています。これまでの調査で日本海、そして石川県における生育地は九十九湾だけです。私は平成12 年の4 月から、九十九湾におけるタチアマモを中心としたアマモ類の生長について調べています。その結果タチアマモの花枝は5 月頃に最長の約2m に達し、7 月までに開花・結実を終え、8 月に枯死流出すること。葉だけをつける枝(これを栄養枝と呼びます)は4 月頃に最長約90cm に達し、やはり8 月頃に多くが枯れてしまい、9 月頃から新しい葉が伸長を始めることがわかりました。

ところが平成12 年の9 月下旬、磯の観察路に長さ2 〜3cm のアマモ類の葉が大量に打ちあがりました。奇妙なことに、時化などによって打ちあがるものと比べると短く、何かに食いちぎられたような跡がありました。その直後の10 月上旬に潜水調査を行ったところ、数十匹から数百匹のアイゴの大群がホンダワラ類やアマモ類、ウミヒルモなどをついばむ行動が観察されました。そしてアイゴのお腹ははちきれんばかりに膨らんでいて、なかには緑色のふんを煙幕のように排泄する個体もみられました。どうやら大量のアマモ類の葉の打ち上げは、アイゴによる食べ残しだと推察されました。また、タチアマモの生育状態は見るも無残な状況で、わずかに残った葉が点在しているにすぎませんでした。その後も観察を続けたところ、翌年3 月まで花枝の伸長は確認できませんでした。

一方、アイゴの生息量が少なかった平成13 年の秋の調査では、栄養枝はすでに9 月で約50cm に伸長していて、花枝は12 月に伸長を始めて2 月に約2m に達しました。これらのことから前年のタチアマモは、アイゴの食害によって十分な光合成が行うことができず、花枝もまた生育が阻害されたのではないかと推察されました。

平成14 年の秋、再びアイゴの大群が出現し、タチアマモの生育状態は平成12 年とほぼ同じような無残な状況になりました。そこで、九十九湾内のアイゴを捕まえて胃や腸の中を観察しました。すると、予想通りアマモ類の葉がたくさんみつかりました。葉の切れ端だけでは種類までは特定できませんが、アイゴがタチアマモの葉を食べるのは間違いないことを確かめることができました。今後はアイゴの出現量と、タチアマモの生育状況に関する調査を継続し、貴重な海草であるタチアマモの保護・保全の方法を探っていきたいと考えています。

HPにはアイゴの食害を受けたタチアマモ」、「お腹が膨らんだアイゴの群れ」、「アイゴの消化管から見つかったアマモ類の葉」等の写真が掲載されています。



【実例2】

以下、続く

文献: 
湯本貴和.1999.熱帯雨林.岩波新書.205 pp.

4.アマモ場とアマモ群落 新井章吾(代筆:余吾 豊) 04/05/04 開始

アマモに関するアラカルトです。

1)アマモとウミヒルモの関係

 植物は光合成によって得たエネルギーを使って、生きていくのに必要な有機物質を体の中で作り出します。車を作る工場での発電機が光合成、部品を組み立てる生産ラインが細胞の中にあるリボゾームと言う小さな器官に相当します。このリボゾーム工場では、情報センター(細胞の核)の中に仕舞われている設計図(DNAの情報)に従って、有機物を作り出します。DNAの情報を情報センターから工場に運ぶメッセンジャーがRNAという奴なのです。

 さて、陸上でも、水中でも、光を得るには、水の綺麗なところが良いし、同じ場所なら、背が高い方が有利なのは同じです。背の低い種は影になってしまいます。隣りに高層マンションが出来た状態です。石田さんの写真から直ぐ分かるように、アマモもウミヒルモも明るい砂の海底を好みます。しかし、両種の背の高さは、オール阪神・巨人ですね。

 では、川奈にはアマモとウミヒルモが共在しているのに、富戸には(港内を除いて)どちらもないのは何故なのでしょうか?

 その謎解きが可能でしょうか?

 僕の電話を聞いて、新井さんはこのように語ってくれました。

 ウミヒルモは背が低い。アマモとの競争には負けるので、アマモ群落の周辺に生育し、アマモ達が生えている中では生き残れない。ところが、何かの原因でアマモが消失したり、少なくなったりすると、海底に光が届き出すので、ウミヒルモはこれ幸いと地下茎を伸ばし、そこから葉を出すのです。

 川奈と富戸の状況を僕自体が詳しく知らないので、それ以上の言及は避けていましたが、ヒントがあるような気がします。また、富戸の港外にアマモが生えていても良さそうな場所はあるのでしょうか?そして、もしあるとすると、そこには、昔、アマモは無かったのでしょうか?

2}アマモとアイゴの冷たい関係 04/08/04

 藻や草を食う魚類は色々と居ますが、アイゴが増え、色んな藻場を荒らし回っていると言うことです。
沖縄などでは、春にアイゴ類の幼魚群が、浅場の死サンゴ岩盤に生えた小型海藻をむさぼり喰っていますね。
これを網でごっそり採り、酢漬けにして売っています。アイゴは動物も食べますので、完全な植物食とは言えません。オキアミでも釣れますし、味噌団子でも釣れます。沖縄では海草を餌にして釣っています。まあ、ブダイと同じような食性と言って良いでしょう。伊豆ではハバノリを使って、ブダイを釣りますね。

 アイゴは葉体の全てを食い尽くすことは余りしないで、先端部を喰うので、食害にあったところでは背丈が低くなっているそうです。アマモは汽水域にも生育します。アイゴは汽水を嫌うので、ここのアマモ場は食害から逃れると新井さんが話してくれました。

3)ウミヒルモ、アマモ、ジュゴンの三角関係
4)アマモ場はどんな幼魚達の揺りかごだろうか?
5)アマモ群落とアマモ場群集を区別しよう

以下、続きます。

5.アマモ雑学 余吾 豊 04/06/04

1)食用の例

 東北、松島湾のアマモは今も残っているでしょうか?およそ10年前の9月頃、修学旅行で行ったことがありますが、海水は、妙に灰色がかり、何かねっとりしたようで、海底は暗いだろうなと感じました。塩釜市に「塩釜」という銘菓があるそうです。アマモ(古くは藻塩草)を切り刻んで、甘味を加減した干菓子だとのこと(高田、1974)。


左:「しおがま 白」(表)、右:「しおがま 白」(裏)。1本、\300。

 しめしめとほくそ笑んで、帰ってみると、裏には「ユカリ」と書いてある。これは紅藻類ではないか!
縁もゆかりも何もないじゃないか!「くそっ、もう、片方も買ってくるべきだった」と思っても後のゆかり、もとい、祭りでした。ユカリとはアカシソか?今日食べましたが、ラクガンに餡が入っている感じ。余り、好きじゃ無いなあ。

 アマモを食べる動物としては、上に出てくるアイゴなどの植物も喰う魚類の他、海鳥も食べるそうです。アマモには塩の他、カリや糖分も含まれている(高田、1974)。

2)その他の利用

 塩の製法には色々あるが、以前は「入り浜式」と言う方法で作られていた。1950年代から「流下式塩田法」が改良されて、生産量が伸びた。しかし、国内産だけでは需要に追いつかず、今も輸入している。奈良時代には、海水を汲んで、海藻やアマモを干し、それに水をかけて、塩を抜き、溜めた塩水を天日に晒して濃度を濃くしていき、最後は大釜で煮詰めて塩を得る古い製塩法があった。「藻塩焼く」とか「藻塩垂る」とかいう言葉が万葉集に出てくるが、このことだそうだ(高田、1974)。

3)祖先

 アマモの祖先?と考えられている化石があるそうです。コダイアマモ Archeozostera longiforia Koriba et Miki 。郡場・三木(1931)は、白亜紀和泉砂岩の化石コダイアマモ(創称)」として、「地球」15 巻
に発表しました。約1億年前のもので、生育場所は海水の影響があるところだったとしています。

 現生のアマモの化石は、数千年前の鮮新世の地層から出るとのことです(高田、1974)。

4)アマモ異名抄

 アマモにはもう一つ、和名があります。リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ(竜宮の乙姫の元結いの切り外し)。日本産植物の中で最も長い和名だそうです。誰が付けたのでしょうね。幅1cm、長さ1m 程の葉が波間に漂うのを見て、きっと連想したものでしょう。

 四国の屋島辺りでは、「アマネ」と呼び、アジモと呼ぶことも多いです(高田、1974)。

5)絶滅危惧種

6)謎

以下、続きます。



文献: 
湯本貴和.1999.熱帯雨林.岩波新書.205 pp.
高田英夫.1974.塩と生物.創元社.200 pp.

事務局より:今年の7月中旬の第2回目のミニ集会を相模湾沿岸で開きます。潜水も
抱き合わせ、アマモ場観察会とします。候補地を選んでいる状態です。皆さんからの
提案、幹事役の立候補をお待ちしています。
スケジュール原案と潜水観察の試案をお知らせします。

・期日:2004.7.10-11
・場所:
  日本大学生物資源科学部
  海洋生物資源教育研究センター
  下田臨海実験所
  〒415-0014 静岡県下田市須崎池ノ段1237-1
  Tel :0558-22-6585・0558-23-2270
  Fax:0558-22-6586




 *:現在、所長の吉原喜好教授との連絡を図っている。
  (常駐しているのは技官だけの様子)

・人員:
17名が確定。
・スケジュール
 7/10(土) 13:30 集合(変更するかも?)
         14:00-16:30 潜水(荒天の場合は、海岸を散策するか、
          誰かがなにかしゃべる。あるいはビデオ鑑賞)
         17:00-18:30 風呂、夕食
         18:30-20:00 座談会
         20:00-22:00 懇親会
 
 7/11(日) 08:00-09:00 朝食、掃除、準備
         09:00-11:30 潜水(荒天の場合はみんなで何かしゃべる
          あるいは海洋生物資源学教育センターの見学、散策)
         11:30-12:30 座談会
         昼食後、簡単なミーティング 掃除、解散

・潜水観察試案:各自、アマモ場の生物に、何でも良いから目の付け所を持ってもらう。
潜水はバディーを組み、エキジット時間厳守の他に、制限を設けない(瓜生さん、道羅さん、問題はないでしょうか?)。自分のテーマに添って、観察し、記録する。特にテーマが無くても、裸で接してみる。その為に、「アマモを見てみよう」で、事前学習をしています。それを座談会で、「こうだったねー、ああだったねー、どうしてかなあ」としゃべる。僕は「そんなスタイルでいけたらなあ」と思っています。

テーマの例をざっと挙げてみました。
・アマモ
 体の特徴
 他の海草、海藻はあるか?
 種子は?
 砂はどんな砂?どんなところに生え、どんなところに生えていないか?
・アマモ場の魚類
 すみか、隠れ家、餌場、どんな利用をしているか?
 アマモへの擬態例は?
 アマモを喰う魚はいるか?
・アマモ場の無脊椎動物は?葉体に着いている動物、泳いでいる動物、砂の上にいる動物
・アマモ場の中はどんなところ?
 中と外は潮の流れが違うか?リボンを立てて、揺らぎを見ると直ぐに分かる。
 中は暗いか?一眼レフを持っている人は露出で測る。

06/08/04 下見結果です。有り難いこっちゃ!!

・瓜生知史さんより

先日、須崎の田ノ浦に行って来ました。
本当は九十浜に行こうとしたのですが、波が高く日大の前の浜になったのです。
アマモは一面に生い茂り、生物も多様です。
ここならアマモ観察会も上手く行くことでしょう。
アミメハギが求愛や威嚇をして雌のお腹も大きくなっています。
観察会の頃まで卵保護とか見られたらいいですね。
ホシノハゼのネストインも見られましたし、タツノオトシゴもいました。
もちろんアマモの花も見てきました。
夏になるとヒメハゼも産卵期になると思いますので楽しみです。




・道羅英夫さんより

田ノ浦湾に下見に行ってきました。

まず気になるアマモですが、時期的なものか、以前(2002年4月)に比べて少し
枯れかけているものが目立ちましたが、まだまだ健在でした。


以前はスクーバでの観察だったのでどのくらいの面積に生えているのかイメージしに
くかったのですが、今回スノーケリングで水面を泳ぎまわって観察すると、かなり広
い範囲に生えているという印象でした。形は不規則ですが、場所によっては50m以
上泳いでも途切れることなく生えていました。枝分かれするように生えている部分も
あり、むしろ以前よりも広がっているような気がしました。
臨海実験所はちょっと高くなっているので、上から見下ろせばどのように生えている
か目視できるかもしれません。
中潮の最大干潮時に潜ったのですが、水深3〜5mくらいに生えていました。
潮時表を見ると当日は小潮のようなので、もう少し深くなると思います。
水温は今年は上がるのが早いようで、伊豆半島各地ですでに20℃を越えていますが、
田ノ浦湾も体感ですが、20〜21℃くらいだったと思います。

田ノ浦湾の画像と臨海実験所の桟橋の画像を送ります。



桟橋は潮が引いている状態では水面まで2m、水深が1.5mくらいで、ジャイアント
ストライドでエントリーするのはちょっと危ないかもしれません。
潮が満ちていれば問題ないと思います。

画像では見づらいですが、桟橋の左の方にはしごがありますので、ここからエントリー
できそうです。エキジットは当然はしごを使うことになると思います。
周囲の岩場からでもEN、EXは可能だと思います。
桟橋からシャワーまでの時間は臨海実験所の中には入っていないのでわかりませんで
した。

桟橋の下にはハリセンボンがいました。
僕がこれまで見た中では最大で、全長25cmはありました。

臨海実験所は爪木崎の駐車場入り口の中にありますので、受付で駐車料金を請求され
ると思います。もちろん臨海実験所に停めることになるので払う必要はないでしょう
から、車で来られる方はご留意下さい。

朝7時に家を出発したにもかかわらず、須崎までたっぷり3時間半かかってしまいま
した。これから夏にかけてさらに道は混んできますので、9時に出発したら4時間以
上かかってしまいそうなので、もっと早く出発しようと思います。



何処に出せばよいか迷ったので、とりあえずここに

「若狭の鼻水」山本正之さんより

2004/5/26、若狭湾の「鼻水」は添付の写真のようなものでした。
地元の調査関係者はサルパの1種といっていたのですが、
さてさて、いったいなんでしょう?

これに道羅さんが応えて
田ノ浦湾の「鼻水」

田ノ浦湾にも「鼻水」はいっぱいでした。


アマモが生い茂っている辺りに「鼻水」が多いような気もするのですが、単に背景が
アマモだと「鼻水」が見えやすくて、砂地だと見えづらいだけかもしれません。
「鼻水」は水面付近に層になって漂っていて、少し潜るとあまり見られなくなりまし
た。なぜでしょうね?比重が小さいのであれば水面に浮きそうな気がします。植物プ
ランクトンが含まれているとすると、光合成のために水面付近に集まるということで
説明できるかもしれません。
いずれにしても顕微鏡で観察してみたいですね。
臨海実験所の顕微鏡はお借りできるのでしょうか?

借りれると思います。

さらに、石田さんより
こりゃ、鼻水のページが必要かな?石田さん、念のために現地にファーブル持参
でお願いします。

以前撮影した「よだれ」の顕微鏡写真を
お送りします。

 2002/05/03 富戸ヨコバマの水深5m付近(水温18℃)で採取し
たものです。当日のログブックには

 「よだれ多し」

と書いてありますが、透視度:17mとあるのでこの季節にしては
大層抜けていた海であったようです。

なお、写真中の1mmのスケールは凡その目安です。念の為。
何処を見ても、このようなグニャッとしたものばかりです。僕には
「まだ生きている物」には見えませんでした。何らかの分泌物と
いう風に思えました。
 

観察会を終えて
参加者の方から個人メールで、感想、疑問などが届きます。少し、紹介し、僕なりの考えなど書いてみます。
山本正之さんと洋平君がお二人とも、若狭湾と西表島へ出掛けていますので、専門家のご意見は、また、後で

> ○アマモ場は「ゆりかご」といわれるけれど、そういうほど生物がついているように
> は見えませんでした。
> (同様の感想は山本敏さんもご自身のホームページに載せています。)
>  季節にもよるのでしょうか。今回1回限りとせず、季節を変えてまた見に行くと
> おもしろいと思いました。
>  それとも「アマモ」にとらわれすぎたのでしょうか。アマモと、砂地や岩といった
> 他のものとの関係といった視点が必要なのでしょうか。

●そうですね。田浦湾はアマモ場のすぐ近くに、藻場があり、住み場は溢れています。季節性もありますので、また、企画したいですね。アマモ場の中には捕食者もおり、見つけ憎いために、かえってアマモの中に入るのを嫌う魚も居ます。決して、全ての魚にとっての揺りかごとはならないようです。

>  アマモ場の砂と砂地の砂とは違っているということはあるのでしょうか。
> アマモ場の砂と砂地の砂を取ってきて見比べればいいのかな?

●それほど差はないと思います。しかし、群生している部分の砂底は周囲より高くなっているところが多かったと思いませんか?かなり深く根を張るので、砂の厚み、海底のどれくらい下に岩盤が張っているかどうかも知りたいところです。
また、
砂面が高くなるのは、アマモが群生し、地下茎を張ることによって砂が硬くなり、波浪で舞い上がった砂が株の間に溜まりやすくなったためかも知れません。一旦、高くなると、その周囲が洗掘しやすくなり、一層、高低差が出ます。

> ○密集して生えているアマモと砂地にちょろちょろ生えているアマモはどうちがうの
> でしょうか。たまたまタネが遠くに飛んだだけのこと?

●これは僕も知りたいところです。ただ、疎らなところのアマモは根が浮いている株がみられました。船のアンカーで掘り起こされて、疎らになっているという可能性もあります。砂の深さに違いがないかも知りたいですね。

> ○動く砂。
>  私は、身を守るとかオスやメスをキープするといったもっと積極的なものがあるの
> ではないかと想像します。

●僕もそう思います。附着させなければ、そうそうあのようにくっつくものではないでしょう。

>  ちなみに、貝殻ですが、稚貝なのかなあ、もともと小さい種類の貝なのかあ、気に
> なります。あんなにたくさん小さな貝殻があるとは知りませんでした。

●貝の収集家のお話を伺うと、ある程度まで肉眼で簡単に見つけることの出来る収集が進むと、そこで頭打ちとなり、それからはあのような砂礫に混じった中から小さな種類を探し出すそうです。元々、小型の貝も多くいるのだと言うことですね。 

> ○瓜生さん、一応ダイビングショップということになっていますが、土日の稼ぎ時に
> こんなことしていていいのでしょうか。と心配になりました。

●僕も少し心配ですが、瓜生さんのところに行くゲストが殆ど参加してしまいますので、開店休業となるかも・・・・・瓜生さん、度々だと困るでしょうか?





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