LET'S WATCHー5
04/05/2006 開始

クマノミ類を見直す

 メールを整理していて、常見さんからの情報を放り投げていたのに気付きました。
かねてより、クマノミ類を見直すというコーナーを作ろうと思っていましたので、初回に常見さんの情報をご紹介します。
ここでは、特に「これはどうなの?」位に気軽に書いて欲しいと思います。
 「魚類の性」でも、原さんのハマクマノミ幼期のバンド(白帯)の数のことを紹介していますが、ここでは、様々な情報を皆さんから集めて、特集にしていきたいと考えています。
 何処にでも居て、つい、見逃しがちな仲間ですが、その生態には謎が多いですね。そして、だれもが観察しやすい魚達ですから、参加しやすいだろうとも思います。良く行くフィールドにクマノミが居れば、海から揚がる前に「ちょっと今日も覗いておこうか」ということも可能です。
 変わった体色や形態、住み場所、イソギンチャクの種類、行動、出現時期、越冬情報など、テーマに拘らず、皆さんの情報をお寄せ下さい。

お願い: 写真は、プリントサイズで横15cm、72dpi を目安にお願いします。撮影の場所と年月日、水深、水温などデータを忘れずに。
一枚の写真の持つ意味は、その画像だけでなく、データと当時の観察メモに依って、大きな差が出ます。画像に写っていない部分も観察されたはずですから、その観察事項を記録に残し、画像と一緒に提示していくことが大事ですね。写真は事実の一部しか残さない。記憶は当てにならない。ナイスショットを活かすために、画像とメモをセットにして残しましょう。

テーマ1.クマノミ幼魚のタイプ 
更新部分へのリンク

09/12/2006 常見さんの追加情報
09/11/2006 事務局より

関連記事:
魚の性.7-1
産む年、産まぬ年、富戸のクマノミ
水温徹底調査−富戸のクマノミ

テーマ 1.クマノミ幼魚のタイプ

地域別画像の一覧
奄美、常見ー1〜3

奄美、常見ー4

奄美、原ー1〜4
八丈、原ー1



奄美大島

・毛色の変わった幼魚 常見さんより 04/05/2006

【奄美、常見ー1】 奄美大島で腹鰭の長い奇妙なクマノミの子を見かけました。現地のガイドの方によると、このタイプの子は時々いて、この腹鰭が長い状態でかなり長い期間生きているそうです。こういうクマノミはよくいるものなのでしょうか?



場所:奄美大島(大島海峡内の大和浜というポイント)全長3 cm
水深:7〜8m 01/22/2005 撮影:常見真紀子 kumanomi(amami3).jpg


水中サイズ4センチ程度に見えましたので、実際は3センチ程度でしょう
死んだ枝サンゴが積もった斜面にいました。もしかするとサンゴの奥にイソギンチャクがあるかもしれませんが、ぱっと眺めた程度では見えませんでした。他のクマノミはおらず、単独で一箇所で泳いでいました。

事務局より:
 大きな腹鰭はとても印象的ですね。僕は屋久島の志戸子と言うところで、これとよく似た幼魚を見ました。肉眼では、もっと黒く感じましたが、あいにくフィルム切れでした。単独で、小さなシライトイソギンチャクに付いていたように思います。ガイドさんのコメントはかなり興味深いものですね。04/05/2006


・常見さんより追加情報 2点 04/19/06

【奄美、常見ー2】 こちらの個体は前に送ったものよりも小さい個体です。
こちらは単独でした。


場所:奄美大島瀬戸内町呑の浦 全長2.5 cm
水深:7m 9/17/2005 撮影:常見真紀子(hirenaga.jpg)

事務局より:これは良いアングルで撮影されましたね。2本目の白いバンドが左側で不連続で、バンドもかなり幅広いなと思います。この特徴だと十分に個体識別が可能です。その後、観察できたら素晴らしいですね。 4/19/06 

【奄美、常見ー3】先般お送りした個体は単独でしたが、今回お送りするものは成魚のペアとこの個体よりも小さい幼魚と一緒に住んでいました。
ケラマの小野さんのHPでヒレの長いタイプの幼魚は「お山の大将」(単独でいる)と書かれていたのとも状況は異なります。
 なお、同居していた成魚・幼魚の腹鰭のサイズは普通サイズです。幼魚は一緒に写っていますのでご確認ください。


場所:奄美大島瀬戸内町清水 全長3 cm
水深 8 m 2/12/2005 撮影:常見真紀子(yayahirenaga2.jpg)

事務局より:ペアと幼魚と一緒に住んでいたというのが興味深いですね。また、幼魚(右下)と色彩、斑紋はほぼ同じなのに、腹鰭の大きさが違うというのも面白い。ペアの色彩、斑紋もこの2尾と同じだったのでしょうか?それも知りたいな。色彩、斑紋は宿主イソギンチャクに影響されるが、腹鰭の大きさは着底、あるいはイソギンチャクへの加入までの個体の歴史を何か暗示しているのでしょうか?4/19/06


常見さんょり追加写真 09/12/06
【奄美ー4】


 ・場所:奄美大島、安脚場、全長4 cm
水深3m(ガレサンゴの斜面)7/17/06
  撮影 常見真紀子(hirenaga1.jpg)

・シライトイソギンチャクに単独でいました。イソギンチャクはなかなか立派な30センチくらいあるようなものでした。クマノミがイソギンチャクに逃げないような位置で写真を撮ったため、イソギンチャク自体が画面に入っていません。(この個体の VL/CPD は2.7)

常見さんの画像へ追加情報 04/07/2006
同じく奄美での原さんの画像を追加しました。
【奄美、原ー1〜4】


【奄美、原ー1】全長 約 3 cm 05/22/2005 
奄美大島瀬戸内町 安脚場(アンキャバ)
水深 5〜7 m 水温 23℃ 撮影:原 多加志
hirenagakuma5.jpg
(その他、コメントは?)
【奄美、原ー2】全長 約 4 cm 05/22/2005 
奄美大島瀬戸内町 安脚場(アンキャバ)
水深 5〜7 m 水温 23℃ 撮影:原 多加志
hirenagakuma6.jpg
(その他、コメントは?)
【奄美、原ー3】全長 約 4 cm 10/07/05
奄美大島笠利湾 山本スペシャル
水深 5 m 撮影:原 多加志hirenaga051007yammotosp.jpg
セジロクマノミ数個体と同じイソギンチャクにつき、
あまりイソギンチャクに入ることができないぐらいプレッシャーを受けていた。

(こういうコメントはとっても大事ですね。にくいな。でも、そのイソギンチャクは何?
【奄美、原ー4】全長 約 4 cm 05/23/05
奄美大島瀬戸内町 安脚場(アンキャバ)
水深 7 m 水温 23℃ 撮影:原 多加志
hirenaga050523ankyaba2.jpg
尾鰭に黒班のある個体。動き回るので、長い腹鰭は確認しにくかった。
(動き回り観察し辛いというのは、行動の重要なコメントですね。周りはどうだったのかな?)


事務局より:早速、来ました。こういう反応を待っていました。原さんからの情報追加です。沢山戴いていますが、先ずは、奄美で撮影された中から常見さんの撮影されたタイプと似ているものだけを選びました。画像によっては、宿主イソギンチャクが写っているものもあれば、そうでないものもあり、この辺がもどかしいというか、補足のコメントが欲しいなあと思うのであります。原さん、いかがでしょうか?
僕が思う注目点は、先ず、腹鰭の大きさですが、次に地色、それから2番目の白いバンドが背鰭、尻鰭まで伸びているかどうか、尾鰭中央の濃い部分がどうなっているか、これらをサイズも気にしながら見比べてみたいと思います。

 
「腹鰭の大きな幼魚が奄美に多い」、そう言い切ってしまってよいのだろうか?そうならば、なぜでしょうかね?他の場所ではどうなのだろう?同じタイプが別の場所から出たり、色々なタイプが同じ場所にも出る、例えば、奄美には他のタイプもいると言うことも忘れてはいけないですね。それで、先ず、奄美として纏めているところです。勿論、別の場所からの情報もお待ちしていますよ。04/07/2006

奄美大島以外からの情報

・【八丈島、原ー1】 04/22/06


八丈島八重根 全長 約 3.5 cm
水深 12 m 10/18/03 原 多加志(hirenaga031018yaene.jpg )

コメント:八丈島にもやや鰭の長い個体がいました。体色は、奄美などではジュズダマイソギンチャクなどに集まっているタイプに似ています。

事務局より:【奄美、原ー1】と似ていますね。サンゴイソギンチャクにミツボシと同居しているようですね。クマノミとしてはこの個体だけだったのでしょうか?その辺のコメントも欲しいところだし、奄美でジュズダマイソギンチャクに集まっている写真は無いのでしょうか? 04/22/06


事務局より 09/11/06

クマノミ類をずっと研究している服部さんからメールとクマノミの写真を頂きました。


沖縄県瀬底島 服部尚久さん撮影 2006年6月下旬
1.5 cm TL  シライトイソギンチャクに他の2尾と生息

沖縄県瀬底島で撮影された幼魚なのですが、腹鰭が長いと言えるかどうか微妙でした。
写真を見て、長い、長くないと言っても仕方がないので、少し乱暴ですが、写真から腹鰭の長さを測定してみました。実寸を測ることは無理ですし、記録された全長は目視による大ざっぱなものですから、この場合は体部比という測り方を用います。

腹鰭の長さと最も測りやすそうな(白帯があるので見易いです)尾柄高をノギスで測り、その比(VL/CPD) をとってみました。


黄色の矢印間(尾柄部の最も狭いところ)が尾柄高(CPD)、
白矢印の腹鰭の基底から先端までが腹鰭長(VL)です。

幾つかの画像などでざっと比較してみました。これは比をとる訳ですから、画像を幾ら拡大して測定しても結構です。

奄美 大和浜 2.9 (3 cm TL)  常見さん(上の写真)
奄美 清水  3.3 (3 cm TL)  常見さん
奄美 安脚場 2.8 (4 cmTL)  原さん
八丈 八重根 2.6 (3.5 cmTL)  原さん
沖縄 瀬底島 2.3 (1.5 cmTL) 服部さん
図鑑     1.7(10 cm SL)(魚類検索の線画)

あいにく、普通のタイプの幼魚で測定できる写真を持ち合わせていません。どなたか測りやすそうなアングルの写真をお持ちの方は送って下さい。

常見さんが奄美の清水で撮影された個体は相当に腹鰭が長いと言って良いですね。

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