設立の趣意


 

 

このAUNJという会を発足させるのは、海から感じ取ったメッセージを記録に残し、その記録を伝え合い、立場や意見を違える人々同士でも、人が海と共にあるという共通の視点から、自然の中の命のありかたを見つめる土俵を作りたいという願いに基づくものである。

今、私たちが直面して把握していること、目の前にしているのに気づかないこと、一般の人の目の前に現れていない様々な海洋生物の病いやその前兆、あるいは、わくわくするような生物世界での秘密や謎の発見、それらを海に親しみ、地球の一面に触れあう機会を持つものとして、よく観察し、見たことを整理し、不明な点を調べて直ぐに記録に残すのである。

 記録に残す作業で、自分が何を見たか、何を見なかったかが分かる。文章に起こす時に、観察の不足、記録の方法の不備を知ることができるようになる。記録に残しておけば、時間が経ってもその経験に立ち返ることが可能となるだろう。また、個人の記録を他の人に読んで貰うことにより、自分の情報を他の人に伝え、自分も別の情報を共有することが出来るのである。さらに、記録集を整理して保管しておけば、誰もが、いつでも、必要な情報にアクセスすることができるのである。

また、その記録は誰にでも分かり易いものでありたい。ありのままに物事を記録に残すためには、ありのままを見つめる観察力と、ありのままに記録する文章力に加え、みつめたものは何かを判断する科学的な裏付けも欠かせない。それは誰にでもできることではない。


photo by Y.Yogo

こうした記録集は、ダイヴァーだけに向けられたものではなく、全ての人に向けられたメッセージ集であり、海洋環境の貴重な資料集ともなり、人間社会の財産ともなるだろう。これは社会教育の一形態であり、学ぶ人自身が作り出す将来の子供達へのテキストともなるものだと期待したい。ダイヴァ−でなくとも、これから、ダイヴィングを始めようとする人も、ダイヴィングには縁がなくとも水中の世界に強い関心を持つ人であれば、誰でも参加できる組織である。お互いが伺うことのできる共通の基盤を持つことで、歴史が生まれ、刻んだ歴史は人に時間の流れの中で物事を考えさせる土台を残していくものだと思う。

我が国においては、自然環境への関心の高まりとともに、海洋生態系や海洋生物のことを学びたいというダイバーが増加しているにも関わらず、それに応じることができる教育体制が整っているとは言えない。また、沿岸域での環境悪化が懸念される中、ダイヴァーを啓発し、指導する能力を備えたフィールド・ガイドの養成は環境保全の面からも強く望まれている。

陸域環境については、教育を目的とした機関がすでにいくつか設立されており、今後の発展が期待されるが、海洋環境についてはその整備が立ち遅れているのが実状である。 このような社会的背景の中、アンダーウォーター・ナチュラリスト---水中環境での生物の生活、社会をありのままに見つめ、記録に残し、驚異と感動とを他の人々へ伝えようと努力する人々---の輪が広がることを願いながら、別項に挙げた具体的な目的を達成するために本会を設立する。

アンダーウォーター・ナチュラリスト協会代表  余吾 豊

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設立の趣意

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